研究内容

野外における生物の振る舞いを理解し、予測し、制御する

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生物が実際に生きている農地や自然生息地などの実環境では、環境が非常に複雑に変動します。このように複雑に変動する環境下での生物の応答は、その取り扱いにくさからこれまで分子生物学では扱われてきませんでした。しかしながら、生物の真の姿を知り、応用するためには、実環境下での振る舞いの理解が不可欠です。そこで我々は主に植物を材料に、実環境で何が起こっているのかを理解し、予測し、制御することを目指しています。そのために、独自に多検体化した網羅的計測手法(主としてゲノミクス、トランスクリプトミクス)、先端的の情報科学的手法、気象データとの統合解析、3Dプリンタのようなパーソナルファブリケーションなど、様々な技術を駆使して取り組んでいます。

もうひとつのテーマとして、驚異的なまでに多様な生物の姿の解明に、我々の技術を役立てることがあります。例えば、独自に開発したウイルスの網羅的検出手法を用いて、野生植物内の植物ウイルスの探索を行っています。これまでに、農作物に深刻な被害を与えるウイルスが、野生植物では病気を起こさず植物と共存していることなどを明らかにしました。また、農作物はもちろん、野生植物や魚類、昆虫、真菌類(キノコ・カビ)にいたるまで、様々な分野の100人以上の専門家との共同研究を通じて、この脅威の多様性の解明に取り組んでいます。